天龍三郎師匠

浪曲界は長命です。
９０代現役？普通っす。

その代表でいらっしゃる天龍三郎師匠が、26日亡くなられたとのこと。　
宇野千代さんじゃないけれど、「死なないと思う」師匠でしたので、98歳という高齢ながらも未だ信じられない思いです。

天龍師匠は、長ーーーいこと、藤信のお師さんが弾いていらして、このことからもわかるように三味線にうるさい方でした。
わたしが関西にきてからすぐのときも「豊ちゃん元気？」「豊ちゃんはうまいからなあ」と、いつも話しかけてくださいました。
わたしのような下っ端のものでも、沢村豊子の弟子だと思うからでしょうか、舞台を聞いてくださって、端的に感想を述べてくださったもんです。

藤信のお師さんが行かれないときのピンチヒッターで、弾かせていただいたことがありました。
音源を送っていただき、「これで勉強しておいてください」と。
一度、お稽古に伺いたいと申し上げましたが、必要ないからとのこと。
もーーー必死こいて聴きまくりましたよ。
手を真似したんでは、一席もたない。ボロが出るから。
間、節の特徴を飲み込むよう、聴いて聴いて、考えなくてもわかるまで聴くしかないのです。

当日は早めの楽屋入り、お稽古のためかと思えば！
マクラの節をちょびーーとだけ、２、３行。１分足らずでしたね。
「はい。じゃ、よろしく」
「え？？？！！！あの、お時間あれば合わせていただければ・・・（ぶっつけでやる気かな。せめて、外題づけくらいさらっていただけないかしらん・・・）」
「時間があればね（あるに決まってるやん。本番まで３時間以上何もすることない！）。大丈夫。あなたは、ぼくが思っていたより、ずっとうまい。」

・・・・・・・・・・・・感激！！！！！！！！！！
思ってたより、ですからね、大したことないのは、十分承知です。
が！！！！！
うれしいじゃあないですか。
でも、１分で実力を判断したというより、・・・・励ましてくださったんでしょうねえ、さくらを。

その後、お師匠さんの行かれないところはお声かけていただいておりましたが、日程や師匠の体調やらでご縁が薄く、弾かせてせていただいたのは一度だけでした。
一度でも、弾かせていただいたのが、嬉しく、そして自慢です。
お電話やお手紙も何度かいただきました。
知的な感じやお声、口調、何よりもお手紙の字が、国友先生に似てらして。

まだまだやるとおっしゃっていましたのに。

ありがとうございました。ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。